一歩一歩進んでいく
●Yahoo!とGoogle和解の影響は

 前にもお伝えしたが、キーワード広告のAdWordsをめぐるYahoo!とGoogleの係争が和解に持ち込まれた。この和解がなければ、Googleの新規株式公開(IPO)はうまくいかなかったのだろうと見られている。

 この係争は、今はYahoo!に買収されているOvertureがGoogleを相手取って起こしたものだ。Overtureはご存じのように、キーワード広告を最初に始めた企業だ。そしてキーワード広告を後からスタートさせたGoogle AdwordsやFindWhat、Looksmartなどに対して、Overtureの特許権を侵害していると提訴していた。和解条件はYahoo!(Overture)がGoogleに対して特許のライセンスを与え、かわりにGoogleは自社普通株270万株をYahoo!側に与えるというものだった。

 もしこの提訴が法廷で争われる事態となっていれば、Overtureの持っていた特許権が綿密に調べられることになっていただろう。そうなればGoogle AdWordsは特許に抵触していると認定されたかもしれないし、あるいは逆に、AdWordsは独自の技術であって特許の抵触にはあたらないと認められたかもしれない。まあでも、それは今となっては仮定の話でしかない。

 Yahoo!とGoogleはなぜ和解したのだろう。たぶんもっとも可能性の高い推測は、彼らがMSNやAsk Jeevesなどの競合他社の参入を排除しようとしたということだ。特許料としてGoogle株270万株を支払うという巨額の和解が成立している以上、もしこれらの企業がこれから利益率の高いキーワード広告市場に参入しようとすると、Yahoo!に同様の巨額の特許使用料を支払うか、あるいは法廷闘争を展開しなくてはならなくなる。

 もっともこの件については、Googleの側はかなり心配しているのではないかという話もある。つまりマイクロソフトは潤沢な資金を持っていて、裁判闘争にも慣れている。独占禁止法をめぐって各国の司法当局と終わりなき戦いを続けてきたのは、ご存じの通り。となると、たいへんな儲けとなるキーワード広告特許をめぐって、マイクロソフトがYahoo!に裁判を仕掛けてくる可能性は捨てきれない。そうなるとGoogleも騒ぎに巻き込まれ、なんらかの悪影響を避けられないのでは――と彼らは考えているというのだ。

 どうなのだろう?



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