米証券取引委員会(SEC)に最近提出された書類によれば、Googleは新規株式公開(IPO)に際してナスダックに上場することを決めたようだ。最高27億ドルの調達計画というのは、ネットバブルが崩壊して以降、最大のIPOになると言えるだろう。時価総額に至っては、200億ドルになると予想されている。いずれにせよ、たいへんな規模だ。
この熱く待望されているIPOは、夏の終わりか初秋ぐらいには実施されると見られている。
GoogleのIPOがアナウンスされたのは、今年4月のことだった。珍しいのは、売り出し価格を機関投資家と相談して決めるのではなく、公的なオークションによって決定するという方法を採ったことだ。
GoogleのIPOは機関投資家だけでなく、個人投資家やデイトレーダーたちからも熱烈な注目を集めている。だからオークション方式というのは、彼らにとってもありがたい方法だろうね。
このオークションは、「ダッチオークション」という方式で行なわれる。これは「ボトムラインオークション」とも呼ばれ、もっとも高い価格で入札した人から順番に、求めた個数分ずつ落札することができる。そして落札価格は、落札者の中でもっとも安い値段で入札した人の価格になるという仕組み。わかりにくいから一覧表で示してみると、
【入札】
Aさん 9,900円×9
Bさん 9,800円×8
Cさん 9,500円×9
Dさん 9,400円×7
このように入札されたとして、販売数が20だとすると、落札できるのはAさんからCさんまでで、価格は次のようになる。
【落札】
Aさん 9,500円×9
Bさん 9,500円×8
Cさん 9,500円×3
Cさんが落札者の中で最も安い値段を入札していたから、AさんもBさんもCさんと同じ9,500円で購入できるのだ。
米SECに提出された書類によれば、Googleの株はネットバブル時のハイテク株のIPOとは異なり、上場後に株価が下落する危険性があるという。これはダッチオークションにそうした危険性があるからだ。
投資家は自分の欲しい株数と購入金額を入札し、その後でGoogleと主幹事証券は落札結果をもとに売り出し価格を決定することになる。その際に問題なのは、熱狂的に盛り上がったデイトレーダーたちが、一気に大量の入札を行ない、売り出し価格を高い金額へと押し上げてしまうことだ。そうなると機関投資家たちは購入を思い止まる結果となり、そしてGoogleの株価はあっという間に下落するということになる。
もちろん、仮にGoogleが上場してから最初の数日、株価がどうなるのか予測もつかない状況に陥るとしても、中長期的に見ればGoogleの株価は確実に上昇していくだろう。
アメリカでは、ポーカーやブラックジャックなどのバクチをインターネットで提供するのは違法だが、同じようなバクチは株式市場ではおおっぴらに行なわれていて、社会基盤のひとつにまでなっている。これも現代アメリカのパラドックスみたいなものかな。