一歩一歩進んでいく
●Overtureのビジネスモデルに関するウワサ

 Overtureのテッド・マイゼル社長によると、同社は定額料金制を検討しているという。目的は、PPC(Pay Per Click)のキーワード広告を中小企業向けによりシンプルな形で展開することだ。

 「われわれはキーワード広告をより簡略化することに取り組んでいる。マーケティング担当者がどの検索キーワードを選ぶのかに頭をひねったり、あと0.14ドルを上乗せして入札するかどうかに悩むのではなく、自分たちの目的にもっと注力できるようにしたい。それでわれわれとしては、定額モデルを検討している。もっと多くの人をキーワード広告の世界に招き入れるためには、シンプルなモデルも選べるようにしておかなければならないと思う」(ClickZ Networkの記事より)

 米国ではすでに、Overtureの販売業者で定額制を取り入れるところが現われてきている。Bell Southなんかがそうだ。

 米国のビジネスでよく行なわれるのは、ある製品を世に問う時に完璧に知的でプロフェッショナルなチームを雇い、その製品やサービスから複雑さをどうやって取り除けばいいのかを徹底的に検討させるというものだ。こんな風によく言う。「もっとシンプルに、もっとわかりやすく」。要するに製品やサービスを複雑にわかりにくくしてしまうというのはとても間抜けなやり方であり、発想はシンプルであればあるほど良い。特に数百万の人を相手にするマーケティングの業界では、これは100%完璧な真実だ。ClickZ Networkの記事で、マイゼル社長は2つのタイプの広告主がいるという話をしている。「テクノロジーが大好きでメディアにすっかりはまりこんでしまっている人たちがいる一方で、誰かがそうしたことを自分のためにやってくれればいいなと思っている人たちもいる」。

 マイゼルが言おうとしているのは、自分で細かい作業をしないで出力されたレポートだけを見る後者のようなタイプの広告主を、これからの同社のターゲットにしていこうということなのだろう。Overtureがこれから提供しようと考えているのは、要するに現在のキーワード広告のやり方――つまりコンバージョンレートに毎日神経を使い、キーワードに入札し、トラフィックを監視し、売上をもとにROIを計算するといったたぐいの面倒な方法を行なわないでも済む新システムなのだろう。でも仮にOvertureがキーワードのROIを毎日計算しなくても済むようにしたとしても、クリック率と売上を比較して、キーワード広告のROIを計算する必要は残るような気がする。

 ところで不思議なのは、「もっとシンプルに、もっとわかりやすく」というスローガン。これだけ米国の産業界では使われている言葉なのに、あの悪名高い大統領選の選挙システムに応用されないのはなぜだろう?



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