一歩一歩進んでいく

●デスクトップ戦争のもたらすもの

 MicrosoftとGoogle、Yahoo!の間で続いている検索エンジンの技術開発競争は、ますます激化している。でもこれは、検索エンジンのユーザーにとっては歓迎すべき事態といえる。何しろ、進化した使いやすい検索テクノロジーが、以前にも増してどんどん登場してきそうな雲行きだ。

 Pandia Search Centralはトータル検索(Total Search)という言葉を使っていて、それは3つのパートから構成されると説明している。

  1. Web検索……その名の通り、Webを検索する。
  2. メール検索……メールのテキストの中身や添付ファイルを検索してくれる。
  3. デスクトップ検索……ハードディスクやローカルなネットワークの中にあるファイルのコンテンツを検索してくれる。

 そして3番目のデスクトップ検索は、今やたいへん重要な意味を持ちつつある。重要というのは、検索エンジン企業の戦略上、重要という意味だ。

 どうしてデスクトップ検索が重要なのだろう。まず第1に、特定の企業の検索エンジンを使い込んでいるような忠実なユーザー層に対して、デスクトップ検索はとても魅力的なツールになるだろうということだ。検索エンジン企業にとってはペイパークリックのキーワード広告が重要な収益源になってきているけれど、あまりにも多くの広告を集中的に並べ立ててしまうと、ユーザーに嫌がられてしまう可能性がある。ユーザーの心をきちんとつなぎ止めつつ、しかも収入を増やす方法を考えると、答はひとつしかない――キーワード広告を露出させられる場所を増やすことだ。

 だから検索エンジンは、サービスのラインアップを増やそうと頑張っているのである。Googleがたいへんなパワーを投入してGmailというメールサービスを立ち上げようとしているのも、こういう理由からだ。Gmailでは、受信メールの内容に沿ったAdWords広告を表示させることができる機能を持っている。

 ハードディスクの中やメールの受信ボックスの中身を検索するツールが開発され、多くの人が使うようになれば、検索企業側はキーワード広告をこれらのサービス上にも展開できるようになる。そしてGoogleはすでにデスクトップ検索の英語版ベータバージョンを一般向けにリリースしていて、ハードディスクを検索できるローカルな検索機能を、従来型のWeb検索と統合させようと目論んでいる。デスクトップ検索を早め早めにリリースし、ユーザーの心をがっちりとつかんでしまえば、他の企業のツールやサービスにユーザーが流れてしまう可能性はかなり低くなる。だからGoogleは、このツールの開発を急いでいる。


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