一歩一歩進んでいく
Google が Google Local BETA としてローカルサーチのβテストを 開始 してから、今年の3月で1年が経とうとしている。

この間に、Google・Yahoo!・MSN という、いわゆるサーチのトップスリーは、ローカルサーチに注力してきた。裏を返せば、ローカルサーチには研究開発を急がなければならない検索エンジンマーケットが眠っているから、とも言えるのではないだろうか。

SEO のターゲットとなるキーワードも、1年前の「ビッグキーワード対策」に奔走していた頃からは様相が変わってきている。これは、検索エンジンサービスの変化というよりも、検索エンジンユーザーのニーズの変化がもたらしていることだと考えられる。

今回は、この1年間でのローカールサーチの動きと、SEO のターゲットとなるキーワードの変化について述べていこう。

■Google Local BETA とは

まず、Google Local BETA について簡潔に説明をしてみる。

Google Local BETA は、Google がβ版(正式オープン前の最終機能評価テストを行っている段階)として公開している、米国ユーザーを対象にした地域検索である。

地域検索というと聞きなれない方も多いかもしれないが、リアル世界での「タウンページ」をイメージするとわかりやすいかもしれない。タウンページでは、指定した住所付近の情報を掲載している。例えば、東京都文京区を開いた場合に、文京区にあるレストランやホテルが掲載されている。

Google Local BETA では以下のような流れになる。

 1.キーワードを「キーワード」窓に入力する
 2.指定した住所を「場所」窓に入力する
 3.指定された住所付近にあるキーワード関連情報が、地図を表示した上で検索結果として表示される

文章で読むよりも、実際に GoogleLocalBETA を使ってみたほうがわかりやすい。気の利いたことに、米国を対象としたサービスでありながら、メニューは日本語対応なので、言葉の壁を気にせずに検索へ入れると思う。

例えば、キーワードに「sushi」と入力し、場所に「NY」と入力して検索ボタンを押すと、sushi レストランと電話番号が並び、検索結果として地図まで表示されるのがわかるだろう。そして、1マイルから45マイルの範囲で検索する地域を絞り込むこともできる。

米国の都市部に旅行する計画などがあるときは非常に便利なので、ぜひ試してみてほしい。

■検索ユーザーの動向とローカルサーチ

冒頭にも述べたが、1年前と比較すると、SEO のターゲットとなるキーワードは変化してきたように感じる。

特に、早くから検索エンジンマーケティングに対して取り組んだサイトほど、この1年間で SEO のターゲットとなるキーワードが変化してきた。主な理由はアクセスログを解析した結果による。アクセスログ解析を行うと、SEO を行った効果が具体的にどの程度出ているか測定できる。

その結果、「ビッグキーワード」(多くのユーザーが検索に使用する大きな概念を指す語)を用いた訪問者数と「ローカル」(地域名)を複合語としてプラスして用いた場合の訪問者数を比較したとき、目的ページへの到達率からは、ビッグキーワード使用のほうが低い数字になってしまうことが判明した。したがって、ターゲットキーワードとしてビッグキーワードの使用が控えられるようになるというのは、費用対効果を考えると当然の流れであろう。参入プレイヤーが増加し、競争が激化してきている EC ショップにその傾向が顕著である。

結論を言うと、SEO によって訪問者の全体数を伸ばすことが可能であっても、目的がセグメント化されていないユーザーをサイトに訪問させるのならば、結局のところ、「顧客になってくれる」本当に欲しいユーザーの獲得には及ばないことが多いのだ。

この点を考えると、ローカル(地域)という、セグメントされたユーザを獲得できるローカルサーチ(地域検索)は、検索ユーザーのニーズと相性が良いと期待してもよいのではないか。

今後も SEO のターゲットとなるキーワードは、目的にセグメントされたキーワードにより細分化されていくだろう。

■Google の地図情報に対する他社との差別化

SEO とは少し話が離れるが、Google が2004年の10月に Keyhole という企業を 買収 したことを覚えているだろうか。

Keyhole 社の製品のひとつに、人工衛星と航空写真を利用した地形写真を高解像度の3D画像で見るためのソフトウェアがある。このソフトウェアは、まず、米国の大都市圏を網羅するように力が注がれてきたが、現在ではより広範囲の地域を対象として開発が進められている。3D なので、地図上の建物などを角度を変えて見る(傾ける)ことができるのが特徴だ。さらに施設の情報を検索する機能まである。

この Keyhole の技術を Google Local の検索結果インターフェイスに利用したら、今までのダイレクトマーケティングの手法ががらりと変わってしまうかもしれない。

■ローカルサーチがダイレクトマーケティングに与える影響

メールマガジンやダイレクトメールに代表されるダイレクトマーケティングの手法は、メールアドレスまたは住所を獲得し、顧客層を分類したうえで、費用対効果の高い層を狙い撃ちするプッシュ型のマーケティング手法であった。

しかし、仮にローカルサーチの結果を地図上で 3D に表示されるようになれば、住所にひもづく居住状況や、商業地域の状況、その他いろいろな情報を広告の出稿主は手に入れることが可能となる。

そうなった場合に、そのローカル情報の検索結果に、周辺状況を把握したうえで、PPC 広告というプル型のマーケティング手法を用いれば、それだけで興味・関心の高いアクティブなユーザーを獲得できるかもしれない。

例えば、飲食の出前サービスがいい例である。出前用のメニューは、地域を限定してとにかくポストへ投函をしていく。そして、その中でもレスポンスのある顧客を狙って、さらに細かく出前用のメニューやお知らせのダイレクトメールを送るようにする。ダイレクトマーケティングは、常にランニング費用が発生してしまうマーケティング手法といえる。

ローカルサーチに PPC 広告を出稿する場合と比較してみると、どうなるだろうか。PPC 広告はクリックされた時に課金される広告プログラムであり、リアルタイムにオンとオフが可能な広告である。さらに、3D 地図で商業ビルの多い地域に対して出稿していると、ランチタイムの出前狙い撃ちという手法まで行うことができるだろう。

つまり、営業時間中のみローカルサーチの検索結果に広告を出稿しておけば、出前という時間と地域に制限のあるサービスでは、最適なマーケティング手法となりうるのではないだろうか。

以上、いいことづくめに聞こえる PPC 広告であるが、効果のあがる出稿を行うには、出稿のオン/オフ作業を行ったり、きめの細かい入札作業が必要である。また、広告内容によるクリック率で順位が決まったりもする。単に出稿すればそれで良いのではなく、PPC 広告にはマネージメントが一番必要であることはいうまでもないと、最後に付け加えておこう。

記事提供: ファンサイド



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(japan.internet.com) - 2月7日10時37分更新

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