一歩一歩進んでいく

●Northern Lightが復活
Webとデータベースの両方から情報を検索する手法で知られていた「Northern Light」の前CEOだったデヴィッド・スース(David Seuss)が、同社をDivine Interventuresから競売を利用して8万1000ドルで買い戻した。DivineはNorthern Lightを、2002年1月に全株式の取得によって買収したばかり。買収金額は公表されていなかった。

 スースは、未公開の企業向け検索エンジンを販売することを計画している。これはNorthern Lightが特許を取得しているクラスタリング技術を使ったものという。同社のテクノロジーのショーケースとして使われていたオフィシャルサイトで今後、何が行なわれるかは要注目だ。Northern Lightは将来、Overtureに買収される前のFast Search & Transfer(FAST)と同じようなポジションを得ていくことになるのかもしれない。少なくとも、Divine傘下にあったときよりはずっと状況は好転するのではないかと僕は思っている。

 ちょっと昔話になるが、2000年の夏、僕はシカゴでフリーランスとしてSEOの仕事をしていた。ご存じの通り、フリーランスの仕事というのは2つの業務しかない――仕事を見つけ、そしてその仕事を実行することだ。シカゴに拠点のあったDivineは、当時たいへんな話題になっていた。彼らが「internet zaibatsu(インターネット財閥)」と呼んでいた投資会社中心の企業の集合体を作り上げようとして、たいへんなカネをばらまいていたからだ。シカゴでは多くの人たちが、Divineの考えたモデルはユニークで興味深いものだと思っていた。とっても「ニューエコノミー」なスタイルで、おまけに「zaibatsu」という日本語の響きもクールだった。中には、入れ墨にその文字を入れたらカッコいいと思った連中もいたほどだ。――米国人の中には、漢字の入れ墨を入れるのがクールだと思ってる連中がいるのは知っているよね?

 僕はその当時、Divineに関係している30のWebサイトをブラウズしてみた。グループ会社のもあったし、顧客企業のもあった。そこでわかったのは、彼らがSEOのことを何にもわかってはいないということだった。こりゃたいへんな金脈だ! 僕は彼らの専属SEOになれるかもしれない! いっぱい仕事を請け負うことができるかもしれないぞ! ……しかし、そうはならなかった。僕はDivineのスタッフたちにSEOの説明をしたんだけれど、彼らは全然興味を示さなかったんだ。

 あれから3年経った今でさえ、Divine Interventuresのサイトを見ると、彼らが相変わらずSEOを全然理解していないことがわかる。自動的にIPアドレスにリダイレクトするメタタグを使い、それをまたダイナミックURLにリダイレクトしている。さらに、彼らは同じ内容のWebサイトを別のURLにもミラーしていて、基本的なSEOの手法を踏襲していない。おまけに、Divineはこうしたやり方のコンテンツマネジメントシステムを販売している。

 Divineは2003年2月に破産申請した。彼らの作り上げたzaibatsuは、いったい何をもたらしたのだろう? ご存じのように、日本社会では戦後、財閥が解体された。財閥というシステムは非合法とされたのだ。Divineは映画「Matrix」の中の架空世界の中に踏み込んでしまったのかもしれない。……そして彼らは最後まで、それに気づかなかったのだ。

 ところで僕もSEOを生業にするプロとして、日本語で“検索エンジン最適化”ってお腹に入れ墨を彫り込むべきかな? それともサンスクリット語のほうがよかったりして? 読めない言葉の方がいいかもね。



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