一歩一歩進んでいく
●オープンソースの検索エンジンが日本語化される日

 前回の連載で紹介したNutchという検索エンジンを覚えているだろうか? 商業的な方向に傾斜しつつある検索エンジンの世界で、圧力や偏見、広告に左右されない検索エンジンを作り上げようというオープンソースのプロジェクトだ。このNutchが今後、Googleに与えるであろうインパクトは、Linuxという存在がWindowsに与えている影響になぞらえられるかもしれない。Nutchをサポートしている人たちを見ると、そんな思いにとらわれる。

 米国メディアの報道によると、初期のNutchエンジンの開発は、Overtureの研究部門によって支援されていたという。実際、OvertureのスタッフがNutchの理事会メンバーに就任している。またNutchの創設者であり、中心的なプロジェクトマネージャであるダグ・カッティング(Doug Cutting)は、かの有名なゼロックス・パロアルト研究所(PARC)に開発者として勤務した経験があり、その後ExciteとAppleでも働いている。彼の願望は、世界中の開発者たちがこのプロジェクトに参加し、Nutchを頑健なプラットフォームへと成長させていくことだという。つまり彼が望んでいるのは、OSのLinuxやアプリケーションのApacheがそうだったように、「Googleに囲い込まれてしまわない賢い開発者の集団が、Nutchを支えていく」というオープンソースのモデルだ。

 Nutchの理事会には他に2人の有名人が名を連ねている。ひとりは、Lotus 1-2-3の設計者で、Lotusの創業メンバーでもあり、そしてオープンソースアプリケーション財団(Open Source Applications Foundation)の代表でもあるミッチ・ケイパー(Mitch Kapor)。そしてもうひとりは、O'ReillyのCEOであるティム・オライリー(Tim O'Reilly)だ。それからブルースター・カール(Brewster Kahle)が支援しているのも忘れてはならない。彼はAlexaとInternet Archiveの共同創設者だ。

 先日、僕はNutchのメーリングリストを読んでいて、日本の大学生がNutchの多言語化の可能性について質問しているのを見つけた。その大学生は、できるのであれば自分が手伝いたい、って提案したんだ。これに対して、Nutch開発の中心メンバーであるマイク・カファレラ(Mike Cafarella)はこう答えていた。「すべての言語をサポートしたいと考えているけれど、これまでのところは英語しかテストしていない。アジアの言語についてもサポートしたいと思っているんだが、よく知らないんだ」。この返答を読むと、彼らが日本人の開発者やテスター、翻訳者などを求めているようだ。

 Nutchの開発者向けWebページには、次のようなメンバーを求めていると書いてある。

1. NutchのWebページを他の言語に翻訳してくれる人。
2. Nucthがアジアの言語をサポートするため、テストや開発を行なってくれる人。

 うーむ、興味深い話だね。この分でいけば、今年の終わりまでには多言語版のベータテストにたどりつくかもしれない。



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