一歩一歩進んでいく
●第三者機関は本当に公正?

 この連載でも何度も紹介しているけれど、Nutchと呼ばれるオープンソースの検索エンジンは、インターネットの表現の自由を体現しようと言うプロジェクトだ。プロジェクトの目的は、他の検索エンジンを叩きのめして勝つことではない。商業的な影響を廃した検索結果を見せることで、ユーザーに検索エンジンの比較の選択肢を提供しようとしている。インターネットにおける商業主義と表現の自由のバランスをどこで保つかというのは、とても重要な問題だ。……おっと、何度もここで紹介しているので誤解されるといけないけれど、僕はNutchからオカネをもらっているわけでも、関係しているわけでもない。念のため。

 Googleという検索エンジンは当初、インターネットの表現の自由を体現する存在というイメージだった。でも将来、この会社が商業主義に支配されるようになるのではないかと憂慮する声は少なくない。Googleが現在は微妙に保っている表現の自由と商業主義のバランスが、失われてしまうのではないかというわけだ。今週、Googleが無許可業者の薬品広告を排除するというニュースがあった。Googleのスポークスマンであるデビッド・クレイン(David Krane)氏は、ワシントンポスト紙の取材に「Googleは、AdWords広告で排除されるべきWebサイトと薬物の名前のリストアップを、第三者機関に委託して作成する計画だ」と語ったという。でもこの第三者機関に、何らかの政治的グループや企業などが関与する可能性はないのだろうか? あるいはこの第三者機関が、それと知らずに大手薬品メーカーの元社員を雇ってしまう可能性は? そしてまた、この第三者機関がどこかの政治家に献金していた場合は? これらは決してありえない話ではないだろう。

 そして、Yahoo!やMSN、AOLといった主要なポータル企業も、同様の方法で広告クライアントを制限することを表明している。

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