一歩一歩進んでいく

●では長期的な影響は?

 長い目で見てGoogleが成功を収めるかどうかは、彼らの検索エンジンの品質を今後も維持し続けられるかどうかにかかっているといっていい。そしてこの問題は最近、業界のWebマスターたちの間でホットな論争のテーマとなっている。GoogleのIPOが、SERP(Search Engine Results Page、キーワード検索結果)の品質低下をもたらすことはないだろうか? GoogleがAdWordsやAdSenseなどの広告ビジネスに傾斜した結果、SERPが損なわれてしまうということはないだろうか? 来年にもリリースされると言われているMSNの新しい検索エンジンが、Googleのそれを凌駕する可能性は? Microsoftの新しいWindows(コードネーム:Longhorn)がインターネットブラウザ経由の検索からユーザーを奪い、結果的にGoogleや提携サイトを駆逐してしまうということになる可能性はないだろうか?

 一方、Webマスターやサイトオーナーにとっては、まるで昔に回帰するような状況になりつつある。3〜4年前は、2〜3社の異なる検索エンジンからのトラフィックをそれぞれ解析しなければならなかった。それと同じ状況になりつつあるということだ。ゆくゆくはYSTとGoogle、それにMSNの3社が検索エンジン業界の3本柱となり、世界中でこれらの3社がトラフィックを分け合い、そしてそれぞれが独自のキーワード広告ビジネスを展開するということになるのかもしれない。

 ユーザーにとっては――上にも書いたけれど――検索エンジンが高性能になればなるほど、より多くの高品質な情報を入手できる機会が広がることになる。とりあえず僕が今いちばん興味を持っていることを挙げると、OSの進化はどのように検索エンジンに影響を与え、逆に検索エンジンはどのようにOSの進化に影響を与えるのかということだ。

 Googleが今後、企業として財務的に強化されていけば、検索エンジン業界は強大かつ豊かで技術的経験の深い3つの企業による競争という新たな構造が生まれることになる。そしてこれら3社は、僕たちが求めているものを提供するために互いに競争し、切磋琢磨していくことになるのだ。

 こうした市場競争状態は、僕らにとっては大きなメリットであることを忘れてはならない。特定の企業に独占されている検索エンジン業界というのは、決して健全な状態ではない。


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