一歩一歩進んでいく
●短期的影響は?

 GoogleのWebサイトで直接検索をしているユーザーはあまりいないので、Yahoo! JAPANからのトラフィックを失うことはGoogleにとってはかなりの痛手となる。しかしだからといって、Googleが日本でのマーケットシェア拡大の野望を失いカリフォルニア州マウンテンビューの本部に引きこもろうと思ってる、なんてことには断じてならないだろう。米国のGoogle本社はIPOによってブランドネームを一気に高めようという戦略を立てているように見える。一方で、Google日本法人はそれとは別の方法で――例えばブランドネームを浸透させるための広告宣伝を雑誌やテレビなどで展開し、今回の件で失ったマーケットシェアの挽回を図る、という方法を採るなんていうこともあるかもしれない。

 検索エンジンからのトラフィックが大きく変化するというのは、Webマスターやサイトオーナーにとっては大きな出来事になるだろう。今回の提携解消でトラフィックが増えるサイトもあれば、減少するサイトもあるはずだ。またYahoo! Search Technology(YST)のスパムフィルターはGoogleのそれとは若干異なるので、YSTのスパムに引っかかってYahoo!からはじき出されてしまうサイトもあるかもしれない。あるいはこれまでGoogleのスパムフィルターにシャットアウトされていたサイトが、YSTでは検索結果に表示されるという現象もあり得るだろう。とにかく大事なのは、こうした現象は(この提携解消が続く限り)今後ずっと続くものであり、この事態に対応する方法をきちんと考えておかなければならないということだ。ビジネスを妨げられないようにするのが大事ってこと。

 ユーザーにとっては、今回の件は重要な前進だ。熟練した検索エンジン利用者にとっては、YSTの新しい検索エンジンは新たな価値ある情報を得ることのできる重要なツールとなる。GoogleとYahoo!の比較ツールというのがあるが、これによれば、GoogleとYSTの検索結果で重複しているのは40%だけ。この比率は今後変わってくるかもしれないが、少なくとも現時点では、ユーザーがこの2つの検索エンジンを利用できるというのは非常にすばらしいことと言えるだろう。僕も英語の検索を使う際は、これまではGoogleとAllTheWebの2つの検索エンジンを主に利用していて、Yahoo!を使うことはほとんどなかった。でも今やYahoo!はAllTheWebの運営会社であるFASTの検索エンジン部門を買収してしまったから、今後はGoogleとYSTを使えばよさそう、という感じだね。



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