一歩一歩進んでいく
●Microsoft王国に進出するGoogle

最近のウワサによると、GoogleとMicrosoftは最近、似たようなことを考えているようだ。つまり、両社とも「Web検索とパソコンのデスクトップ検索の境界線は、徐々に消滅していく」と考えているようなのだ。Googleは近く、パソコンのハードディスクに保存されているテキストファイルを検索できるソフトをGoogleのサイトからダウンロードできるようにする準備を進めている。これまでWebサイトに限られていたGoogleの検索対象が拡大されることになり、新たなビジネスの旅立ちという感じだね。一方のMicrosoftは、新たなWeb検索エンジンを開発し、その機能をOSに組み込んでいこうとしている。

 これによってわかるのは、とにかくGoogleはMicrosoftの王国を少しずつ浸食していこうとしているということだ。そしてMicrosoftも同じ。これまでGoogleががっちりと統治していたWeb検索という王国に、少しずつ入り込もうとしている。

 CNET Asiaの記事によると、Googleはデスクトップ検索の領域に進出することで、新たなビジネスモデルを実験しようとしているのではないかという。つまり、Web広告をWindowsのデスクトップに持ち込もうとしているというのである。Web広告は同社の大きな収入源であり、昨年は9億1,400万ドルもの売り上げがあった。まさに屋台骨であり、広告付きのアプリケーションがデスクトップ上で動くということになれば収入源はさらに拡大することになる。

 Googleの最近のWeb広告といえば、AdSense。掲載サイトのコンテンツの内容に適合した広告を表示するというモデルである。でもこれをデスクトップにまで取り入れていくとなると、かなり物議を醸すことになる可能性が高い。だってユーザーのファイルの中身の「意味」までをも解析してしまおうということなのだ。Claria(旧Gator)やWhenUといったアドウェアと同じような批判にさらされることになるかもしれない。

 興味深いのは、WhenUは5月中旬、スパイウェアであると批判されてYahoo!とGoogleからのリンクを削除されてしまっていることだ。おまけにGoogleは最近、「アドウェアのガイドライン」という文書もリリースしている。

 広告があまりにもあふれすぎるのは面白くない。多分みんなもそう思っているはずだ。

 ところで、デスクトップ検索とWeb検索が統合されてしまうといちばんの問題となるのは、多分、検索スピードだ。いくらブロードバンド時代になったからといっても、ハードディスクに保存されているファイルにアクセスするのにかかる時間は、ネット上のデータにアクセスするのとは比べものにならないほど速い。これだけブロードバンドが発達している日本でもみんながそう思うのだから、ブロードバンドがまだ普及していない諸外国では、その体感スピードはずっと大きな差になる。そんな中で、GoogleとMicrosoftの王国を賭した戦いがどうなるか、たいへん興味深いところだ。Yahoo!がどう出てくるのかも気になるところだね。



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