一歩一歩進んでいく
●Gmailと食肉獣の怪しい関係

 つい先日、Googleは新しいWebメールサービスを発表した。名前は「Gmail」。ユーザーはメールサーバーに1GBものスペースを提供される。6MBのYahoo!メールや2MBのMSN Hotmailと比べ、その大きさは圧倒的だ。Gmailのもう1つの注目機能は検索だ。まるでWebを検索するように、サーバー上に保存してあるメールの中から、特定の情報を含むものを探し出すことができる。どうも、かなり使えそうなサービスが登場してきたようだね。

 このGmailには、AdSenseに似た仕組みの広告が導入されるようだ。受信メールの中身によって、どのような広告を表示させるかが決められる。Google社員であり、ネット掲示板の有名人である“GoogleGuy”は、こんな風に説明している。

 「Googleは広告に関して、他の企業にはないような独特の考え方を持っているんだ。昔、検索エンジンがユーザーと何の関係もないようなバナー広告の絨毯爆撃を仕掛け、我々をうんざりさせていたことを思い出せるだろうか? ラリーとセルゲイ(筆者注:Googleの共同創設者であるラリー・ページとセルゲイ・ブリンのこと)はまったく別のことを考えた。つまり、広告は通常の検索結果と同じぐらいに有意義なこともあるってことを重視したんだ。広告が適切に表示されれば、ユーザーが受け入れてくれる場合もあるってこと。例えばAdWordsで、広告主がどれだけたくさん料金を払うかってことだけでなく、ユーザーがどれだけその広告をクリックするかということも考慮に入れて、広告の表示の場所が決められていることなんかもそうだ。僕たちがやろうとしている広告モデルは、うんざりするようなバナーとかポップアップ広告とかそんなものより、ずっといいものになるだろうと思っている。そうした広告は、ユーザーにとってちょっと便利なモノになりうるはずなんだ」

 同時に、このGmailのモデルに関しては、プライバシーの懸念も浮上している。Gmailが個人のメールの中身を解析することで、個人のプライバシーが暴かれてしまうのではないか。そしてGoogleがGmailで入手したプライバシーは、連邦政府や警察、軍などによって利用されるのではないかという議論だ。HotWiredの記事によれば、電子プライバシー情報センター(EPIC)のクリス・ホーフナグル(Chris Hoofnagle)氏は、「そのうち司法当局が、特定の言葉が書かれたメールを発信した人間を、Gmailの膨大なデータの中から抽出しようと考えるようになるだろう」と警告している。

 これがそれほどの大ごとになることなのかどうかは、僕にはわからない。だって連邦政府はすでにカーニボア(Carnivore)、またの名をDCS1000と呼ばれるメール盗聴システムを持ってるからね。まあいずれにせよ、今後この問題は議論になりそうだ。



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